( 篠突く雨にしとどに濡れて 浮世男よ ぬしと朝寝がしたい )



恋慕心中
幾夜愛せど薄情な
赤襦袢の白い足をお嘗め
あわれ遊女はくれなゐの金魚
丁と張らんせ半ならば妾を売らんせ吉原へ
眩ませ惑わせ召しませ
逢うて別れて愛しくてさらば
情念艶歌
惹きあう指を括りたるや赤い糸
わっちの心臓、あんたに盗られたでありんす
鳴かぬなら縊りませうか、その喉を
愛に依りて病
春咲きこぼる季節に、ぬしと朝寝がしたい


六月の慕情。篠突く雨が淑やかに咲いた菖蒲を濡らし。
女は生き地獄じゃ、と愛しい男を想いながら知らぬ男の味を知る。
格子越しの物憂い秋の空は破滅ばかり恋しがり。
待てど来ぬ男を 愛しくて待ち詫びる待宵草かな。


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